クレオール料理を食べながら奇遇にも素敵なアートや音楽に触れられる銀座の「サロン」へ行く。

月光荘サロン 月のはなれ(地図)

DSCF1588銀座8丁目に佇むビルの5階に、インターホンを鳴らして入る、食・音楽・アートの3つが楽しめる憩いの場「月光荘サロン 月のはなれ」が隠れ潜んでいる。なぜ、インターホン?と早速首を傾げていることだろう。この大きな理由として、「月のはなれ」にはエレベーターがないことが挙げられる。かんかん照りでも、雪が降っていても、5階までの58段の階段を「よっこらせ」と上って頂く必要がある。5階への道のりはやや長いため、空席状況をまずインターホンで確認するというわけ。そうして「空いてますよ」の一声で登り始め、最上階の5階にたどり着くと、植物がやわらかな空間を作り上げる小さなテラスエリアが広がり、奥には2週間ごとに入れ替わるアートの展示が壁を彩る屋内スペースが。テラス席含めお席は全部で28席ほどと、一息つくにはちょうどいい空間だ。

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月光荘画材店」の100周年を記念に開店した「月のはなれ」は、名前にも入っている「月」をモチーフにしたお店で、定番スイーツである「レモンケーキ」やお皿も三日月型だったり、近所で集めた枝木で作った月の装飾が店内に飾られていたり。店内のあらゆるところに隠れ潜む「月」を探してみたり、はたまた「こんなお月様グッズはどうですか」と薦めるのも楽しい。なんていったって、三日月がラベルにデザインされている梅酒の「Plumoon」も、お客様からの耳より情報をもとに入手したというのだから。

月光荘画材店の記事はこちら

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そしてここ「月のサロン」で食べられるのは、東京ではなかなか見かけない、クレオール料理。米ルイジアナ州、ニューオリンズの郷土料理であるクレオール料理をあえて扱うきっかけとなったのは、3代目である日比康造さんがブルースマンの足跡を辿るために出かけたニューオリンズへの旅。彼は滞在中、様々な音楽に触れる傍ら、胃袋はクレオール料理で満たしていたと話す。

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そんな日比さんが「月のはなれ」初心者にオススメするのは、ランチでもディナーでも頼める、丁寧に炒めたピーマン、たまねぎ、セロリ、そしてオクラが詰まったシチュー料理「名物チキンガンボ」。「決して派手さがあるわけではないので俗に言う『インスタ映え』はしませんが、毎日食べたくなるカンフォートフードです」と彼。デザートには、「自家製ジャムのふわふわフレンチトースト」をどうぞ。そして「外食より手料理が健康的!」なんて定義を覆してくれるのも「月のはなれ」の嬉しいところ。たとえば「フレッシュトマトのブラッディメアリー」は1瓶に50個分のトマトが詰まったジュースを使用している上、マドラーはセロリ。「生しょうがすりおろしモスコミュール」は、そのまますった生姜を入れているため「風邪が治ってしまう」と日比さん。ここまでくると、ひょっとしたら家で作る手料理よりも健康的かもしれない。さらにはつい熟読してしまうフードやドリンクの美味なネーミングも「月のはなれ」の魅力と言えるだろう。

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最後に忘れてはいけないのは、毎晩20時から始まる生演奏。ここで日比さんが心がけているのは、「お客様のための音楽であって欲しい」という気持ち。それはかしこまって聴くような演奏ではなく、あくまでもお客様同士の会話と共存する、という立ち位置。そうして帰り際には不思議と感動が耳に残る時間を提供できたら、と日比さん。彼がニューオリンズで触れた演奏スタイルがまさにそのようなものだったとのこと。ミュージックチャージはないが、感動した分、お会計時に渡される「はなれのぽち袋」にチップを忍ばせよう。このチップは、すべてアーティストの手に渡るようになっている。

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「月のはなれ」は、たくさんの想いが詰まった創造性ひしめく場だが、訪ねる人に何かを強要することが一切ない。いつしかひとりでに彼らが提供するフードや音楽、そしてアートに心動かされ、帰り道にはほんわかした気持ちで階段を下っていることだろう。

月光荘サロン 月のはなれ(地図)
営業時間:14:00-23:45 LO 23:00(平日) 12:30-23:30 LO 22:45 (土曜)
*日曜、祝日は貸切営業のみ
定休日:日曜・祝日
予約番号:03-6228-5189
クレジットカード:◯
席数:28
アクセス:JR【新橋駅】銀座口から徒歩3分/東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線【銀座駅】A2出口から徒歩8分
公式サイト:http://tsuki-hanare.com

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